スローライフとは
「ゆっくり、ゆったり、心ゆたかに」生きるという選択
1986年ローマでのファストフード進出に端を発した“伝統を守る”声は、1989年に国際的なスローフード運動へと広がり、やがて食を越えて暮らし全体を見直すスローライフへと結実しました。時間に追われず自分のリズムで生き、自然を感じ、人とのつながりや地域文化を尊ぶ ——厳密な定義はなくともその本質は効率一辺倒の時代に問いを投げかけ、価値観や社会のあり方を静かに更新するムーブメントです。私たちはこの想いを胸に季節の恵みをゆっくり味わいながら、ほっとできる時間と持続可能で心豊かな暮らしのヒントをお届けします。
スローライフの美学―スローライフを知る=心の豊かさを見つける
時間に追われるのではなく、時間とともに生きるという選択
「スローライフ」とは、ただのんびりと怠惰に日々を過ごすことではありません。
それはむしろ自分自身の時間に丁寧に向き合い、心と身体に正直に生きるという、静かな決意と美意識に満ちた暮らしの哲学です。
現代社会は過剰な効率化、情報の洪水、スピードの価値に満ちています。そんな世界であえて立ち止まり、「今ここにある時間」を慈しむことこそがスローライフの本質です。


スローライフがもたらす豊かさ
スローライフの実践がもたらすものは、決して派手な変化ではありません。
しかし、その効果は確かで、深く人生を潤します。
・ストレスからの解放
時間に追われる生活から一歩離れ、内なる静けさを取り戻すことで、日々の疲れや不安がほどけていきます。
・心身の調和
丁寧な食事、整った呼吸、静かな思索。そうした日々の積み重ねが自然と心と身体を整えてくれます。
・人生の充実
余白があるからこそ見えてくる人生の美しさ。自分らしさを深め、新たな創造や感動に出会う機会が広がります。
それでもスローライフは簡単ではない
憧れだけでは続きません。スローライフは自分を見つめ直す“習慣の再構築”でもあります。慌ただしい日々からの脱却には、小さな違和感や不安も伴うかもしれません。仕事とのバランスを取るには意識的な時間のデザインが求められます。だからこそ、少しずつ暮らしの呼吸を整えること。それが持続可能なスローライフへの第一歩となるのです。


都会でもできるスローライフの実践
田園風景の中に身を置かずとも、スローライフは日々の所作から始まります。
・手料理をする日を設ける
素材に触れ香りを感じ、心を込めて作ることで食卓は「生命の歓び」となるでしょう。
・『しないこと』を予定に入れる
ただ風に耳を澄まし、何も生産しない時間に身を委ねる。それは心の余白を取り戻すための贅沢な時間です。
・5分間の瞑想
1日の始まりや終わりに呼吸と向き合うことで、日常は静かな強さに包まれます。
「田舎暮らし」との違い
~場所より、意識~
スローライフ=田舎暮らしではありません。たとえ自然に囲まれていても、心がせかせかしていては本末転倒。逆に都会にいても、自らの価値観とリズムを保つことでスローライフは実現可能です。田舎には田舎の労力があり、静けさの中にある責任や手間も存在します。場所ではなく生き方そのものがスローライフの鍵なのです。


美しく生きるための選択
スローライフは時間に抗うのではなく、時間とともに生きる術を思い出すこと。つまり「豊かさとは何か」「本当に必要なものとは何か」という問いに、自分なりの答えを見出す旅でもあります。都会でも田舎でも──どこにいても自らの心を見つめ、「丁寧に生きる」という選択ができる。それこそが、スローライフという美学なのです。
一般社団法人日伊スローライフ
目標と活動内容
1. 基本理念
一般社団法人 日伊スローライフは、イタリアで生まれた「スローフード運動」の精神を源流とし、日本とイタリア双方の知恵を融合させながら、「ゆっくり、ゆったり、心ゆたかに」生きる社会を実現することを目的とします。
効率や利便性を追い求めるだけの現代社会に対して、自然との調和、人とのつながり、地域文化の尊重を基盤にしたライフスタイルを広げ、心身の健康と持続可能な暮らしを次世代へとつなげていきます。
2. 目標
1. 心と体の調和を取り戻すライフスタイルの普及
食、睡眠、住まい、働き方など、暮らしのあらゆる場面で「スローライフ」の実践を提案。人々が日常の中で小さな“整え”を積み重ね、心身の安らぎを得られる社会を目指します。
2. 日本とイタリアの文化交流・共同研究の推進
イタリアのスローライフ思想や伝統文化、日本の自然観や地域資源の知恵を交流させ、両国の市民・研究者・実務者が学び合える場を創出します。
3. 地域と地球の持続可能性に寄与
地域の食材や伝統工法、自然素材を生かす取り組みを支援し、環境に負荷をかけない暮らしを普及。SDGsの実現にも資する活動を行います。
3. 主な活動内容
1. 啓発・教育活動
◦ スローライフに関するセミナー・シンポジウムの開催
◦ 学校や地域でのワークショップ(食育・心身調整・自然体験など)
◦ 書籍やカタログ制作、情報発信
◦ イタリアの契約農家さんのワイン、オリーブオイル、蜂蜜等の紹介、販売。
2. 文化・交流イベント
◦ 日伊両国の伝統食文化や音楽、建築、アートを通じた文化交流イベント
◦ 「スローライフ・フェスティバル」やシンポジウムの企画・運営
3. 研究・実証プロジェクト
◦ 食・農・建築・ウェルネス分野での共同研究
◦ CBDや植物療法など、現代における「自然由来の整え」の実証と社会実装
◦ 住空間・医療・教育の現場での応用実験
4. 地域活性化・国際連携
◦ 日本の地方とイタリアの地域を結び、互いの知恵と資源を活かした共同事業
◦ 観光や移住をテーマとした「スローライフ・モデル地域」づくりの支援
4. 将来像
本法人は、単なるライフスタイル提案にとどまらず、「スローライフの社会システム化」を目指します。
食卓から、住まい、教育、医療、まちづくりに至るまで、社会の仕組みに「ゆたかに生きる時間」を組み込むこと。
その結果、人々が「効率のために生きる」のではなく、「生きるために調和を選ぶ」時代を拓いていきます。
「日伊スローライフ」は、『小さな暮らしの工夫』から社会システムの変革までを視野に入れ、人と自然の調和を未来へ紬ぐ架け橋となる法人です。
一般社団法人 日伊スローライフ
代表理事 渡邉雅弘
本 社:大分県大分市三川上4−2−27
東京支部:東京都墨田区向島3−22−2